敷地に有ったりんごの木。
ここに家を建てるのでどうしても切らなくては。
何年も何年も果実の恵みを頂いてきたのに。
でも、それ以上に家を建てるのは大切なこと。
なので、なごりおしいのですが、木を切ることを決めました。
家を建てることは人生においてとても大きいことなので
犠牲にしなくてはならないことも時にはあります。
でも、せっかく今まで育てたこの木を活かす方法はないかと考え
監督に相談し、社長に相談して
使い道は無いかもしれないけど
燻煙乾燥してみようということになりました。
80℃の低温で煙に燻されて約20日間
乾燥炉から出てきた木材を見てもやはり使い道は思いつきません。
木はマグロに似ていて1本の木の中でも
色々な使い道に分かれます。
木取り(きどり)と言ってどの部分を何に使うか選定します。
取る部分によって板目や柾目による木の表情も変わってきます。
今の住宅の木材は工場でつみやすいように、
運びやすいように、現場で造りやすいように
まっすぐの材料が多いです。
なのでこれだけ曲がっていると木取もとても難しい。
さらにはめったに使わないりんごの木
そこで、第一工場で木取の打合せをすることに
社長をはじめ、新井工場長や渋澤さんが集まり
どの部分をどう使うかの話し合いました。
(手前に見える黒くて曲がっているのが、リンゴの木です。)
結果曲がったところをそのまま使う方向で
製材しようということになりました。
数日後、
製材が終わったので近いうちに見に来て
と渋澤さんから連絡が入りました。
この段階に入るとある程度家のどの部分で
使うかイメージできるのでお客様にも
時間をとっていただき工場へいきました。
この状態で約1メートル、S字に曲がっています。
皮もとれてすごくきれいな木の目が見えます。
渋澤さんいわく、リンゴの木は割と固い木で
木の繊維が強く、反りや割れが出やすい。
なので、ここまできれいにいったのも燻煙乾燥だからかもしれないね。
とのことでした。確かに高温乾燥でおこなうと
日数は早く終わるのでいいのですが、木の細胞が破壊されやすいようです。
せっかくここまできれいに上がったのでやっぱりどこかに
使いたい。家具工房の山口さんや澤浦さん、監督とも、棟梁とも相談して
お客様にも了解をいただき
最終的にテーブルの足として使うことになりました。
その他にも板状のものが2枚取れたので
こちらはニッチの下の板に使う方向で決まりました。
長くなってしまったので完成編はまた後日ブログに書きます。
お客様係 栗原 幸宏