齋藤英之物語 ~セルロースファイバー導入秘話~
<だけど・・・が嫌だ。>
燻煙乾燥炉は、お客様の為に作ったものだ。
だから自己満足で終わせてはいけない。
公的機関からキチンと認定を受ける必要があった。
結局、問題をクリアするのと、公的機関の厳しいチェックをクリアするために、
煙乾燥炉は世に発表するまでに1年以上かかった。
燻煙乾燥炉を持っている会社は全国に数か所あるが、
公的機関から認定を受けているのは全国で斉藤林業だけだ。
燻煙乾燥に切り替えて以降、お客様の反応も変わった。
「5年経っても6年経っても、他所の新築の家より暖かい。家の中が快適」
嬉しい話を、沢山して頂いた。
「でも・・・音が響くのよね。 それと冬は乾くのよ、のどがカラカラになって痛い」
2階のトイレの音が気になる、ヒソヒソ話も聞こえる。
家の中にプライバシーが無い、喉も乾く。
実は高気密高断熱に出会って以降、色んな工法を試してた。
外張り断熱だとか全部試したし、データを取ったりもしていた。
全てはお客様の為だった。
でも、まだお客様の期待に応えられていないことに、自分でも納得出来ない。
「だけど・・・」と言われない家をつくりたかった。
そして今度は、セルロースファイバーという新聞紙で出来た断熱材を、自社で作成できる機械を作った。
セルロースファイバーは、防音性が高く、湿度調整もできる断熱材だ。
お客様の「だけど・・・」を無くすために、最適な材料だと思った。
当時は日本でセルロースファイバを作れるのは、山口県にある工場だけだった。
断熱材を自分でなんて作れないと思っていた私は、ノウハウを教わり自分で機械を作った。
燻煙乾燥炉と同じように最初はなかなか上手く行かなかったが、
なんとか問題をクリアし、改良まで施した。
100年住む間には、雨の日もある。
漏水もある。
リフォームするときもあるだろう。
でもセルロースは水に弱い。
だからワックスを入れて、撥水効果を出すように工夫した。
この技術を持っているのは、世界で斉藤林業だけだ。
燻煙乾燥炉を作る時もそうだったが、失敗するなんて全く考えなかった。
その先にお客さまの最高の笑顔がある。
それだけを、信じてやってきた。