Column

コラム

2026.01.24

「選ばれる群馬」の裏側にある、山と家をつなぐ静かな循環

近年、移住希望地ランキングで全国トップクラスの人気を誇る群馬県。首都圏からのアクセスの良さや豊かな自然が注目されていますが、その人気の核心にあるのは、実は「安心感」ではないでしょうか。自然災害が比較的少なく、健やかな暮らしが営める場所。その背景には、長年この地の山や森林と真摯に向き合ってきた人々の存在があります。私たちが携わる家づくりが、いかにして地域の安全と未来を支えているのか。その結びつきを紐解いていきます。

山を放置することが、自然保護にならない理由

山を放置することが、自然保護にならない理由

「自然を守る」と聞くと、多くの人は「木を伐らずにそのままにしておくこと」を想像するかもしれません。しかし、日本の森林、特に人工林においては、人の手を入れずに放置することは、むしろ環境の悪化を招きます。間伐などの手入れがされない山は、木々が密集して太陽の光が地面に届かなくなり、根を深く張ることができません。その結果、土壌が弱くなり、大雨の際に水を溜め込む保水能力を失ってしまいます。つまり、適切に管理されない山は、土砂災害や水害のリスクを孕んだ危うい場所になってしまうのです。

「使うことで守る」という林業の知恵

「使うことで守る」という林業の知恵

私たちは、群馬の山の木を積極的に使い、適切に伐採し、また植えるというサイクルを大切にしています。「山は使いながら守るもの」という考え方は、林業に携わる者にとっての共通認識です。適切な伐採は森に光を入れ、下草を育て、強くしなやかな山を育みます。この循環を止めることなく、山に人の手が入り続ける状態をつくることこそが、真の意味での自然保護につながります。私たちの選択は、単に建築資材を確保すること以上に、地域の環境を健全に保つための重要なピースとなっているのです。

家づくりが地域の安全を底上げする

家づくりが地域の安全を底上げする

私たちが手がける家づくりは、地域の木を消費することで山を若返らせ、結果として災害に強い地盤や環境をつくる一助となっています。一軒の家を建てることは、単に家族の住まいをつくるだけでなく、地域の安全性を高めるための「循環の一部」に加わることを意味します。直接的に「災害を防いでいます」と喧伝する派手さはありませんが、地道に木を使い続けることで、確実に災害が起きにくい土壌を育んでいる。それは、住まう人と地域の安心を足元から支える、静かな守護の形です。

誇りを持って次世代へつなぐ仕事

誇りを持って次世代へつなぐ仕事

群馬が「住みたい場所」として評価されるようになった背景には、先人たちが築き上げ、現代の私たちが受け継いできた山への向き合い方があります。群馬の木で家を建てるという選択が、巡り巡って地域の安全を守り、移住者を惹きつける魅力的な風土をつくっている。この事実は、私たちが日々の仕事に誇りを持つべき理由の一つです。決して目立つ仕事ではありませんが、山を守り、暮らしを守り、未来の景色をつくっていく。その社会的意義を改めて共有し、これからも地域と共に歩んでいきたいと考えます。

まとめ

まとめ

群馬県の人気が高まっている今、私たちが提供している価値は「建物」という箱だけではありません。その根底にあるのは、山と共生し、地域の安全を守り続けるという、終わりのない循環の物語です。地域の木を使い、健やかな森を育むことが、結果として住む人の安心につながっていく。この誇り高き循環のバトンを、これからも誠実に次世代へと繋いでいきましょう。

 

 

※データ出典:
認定NPO法人ふるさと回帰支援センター「2024年の移住相談の傾向、移住希望地ランキング」より引用
https://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2025/02/ranking2024_20250225.pdf