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2025.10.18

住宅のプロが教える!後悔しない「屋根材」選びの決定版

住宅を建てる際、デザインや間取りに意識が向きがちですが、実は「屋根」は建物の耐久性、雨漏り、メンテナンス、そして耐震性にも大きく関わる非常に重要な要素です。見た目の特徴だけでなく、その性能を意識して選ぶことで、長く安心して暮らせる住まいが実現します。今回は、主要な屋根材のメリット・デメリットを比較し、後悔しない屋根選びのポイントを解説します。

伝統的な「瓦」のメリットと知っておきたい弱点

伝統的な「瓦」のメリットと知っておきたい弱点

・高い耐久性と部分交換が可能なメリット

瓦は古くから日本で使われてきた屋根材であり、その最大のメリットは耐久性の高さにあります。焼き物であるため高耐久で、頻繁なメンテナンスも不要です。また、万が一割れても1枚単位での交換が可能な点も利点です。

・耐震性への影響と初期費用の高さ

しかし、注意すべきデメリットもあります。瓦は屋根材の中でも非常に重いため、建物全体の重心が高くなり、耐震性の観点からは他の屋根材に劣る傾向があります。高い耐震等級を目指す場合、瓦を使用すると壁の量が増えたり、窓やコンセントの位置に制限がかかるケースがあります。また、耐久性の高さゆえに初期費用も高めになりがちです。

軽量でモダンな「アスファルトシングル」と「ガルバリウム鋼板」

軽量でモダンな「アスファルトシングル」と「ガルバリウム鋼板」

・軽量で安価なアスファルトシングルの特徴

瓦の重さによるデメリットを解消できるのが、軽量な屋根材です。「アスファルトシングル」は、非常に軽さがあるため、瓦と比べて耐震性に優れています。また、色鮮やかなデザインが多く、比較的安価に取り扱えるのも魅力です。一方で、表面がザラザラしているため、特に北面では苔やカビが発生しやすいというデメリットがあります。

・ガルバリウム鋼板の軽さと熱・音の問題

近年、最も使われている屋根材の一つが「ガルバリウム鋼板」です。これは薄い金属の板であるため、アスファルトシングルと同様に非常に軽量であり、耐震性で有利です。しかし、金属であるがゆえに熱が伝わりやすく雨音が響きやすいというデメリットがあります。さらに、近年は雹(ひょう)による凹み(雹害)の危険性も考慮する必要があります。

最も選ばれている「次世代ガルバリウム鋼板」の進化と弱点対策

最も選ばれている「次世代ガルバリウム鋼板」の進化と弱点対策

・サビに強い次世代ガルバリウム鋼板

現在、多くの住宅会社が標準仕様として推奨しているのが、従来のガルバリウム鋼板の弱点を克服した「次世代ガルバリウム鋼板」です。これはマグネシウムの含有率を高めることで、従来の3倍の耐食性(サビに強い)を実現しています。

・「熱」と「音」のデメリットを解消する工夫

さらに、そのデメリットである「熱」と「音」に対して、住宅側で対策を施すことで、性能をカバーすることが可能です。

 【熱対策】 瓦屋根のように、屋根材の下地に通気層を設けることで、屋根に溜まった熱が屋根裏から外へ抜ける仕組みを作り、熱が室内に伝わるのを防ぎます。

 【音対策】 通気層に優れた吸音性を持つ「セルロースファイバー」などの断熱材を使用することで、雨音を吸収し、室内に全く響かないようにすることが可能です。

太陽光発電にも有利な屋根の仕上げ方

・雨漏りリスクを減らす「縦葺き」の選択

次世代ガルバリウム鋼板を選ぶ際のもう一つのメリットは、太陽光発電システムの設置方法にあります。一般的に、他の屋根材で太陽光を設置する場合、屋根に穴を開ける必要があり、雨漏りの危険性が伴います。

しかし、ガルバリウム鋼板の「縦葺き」という水が縦に流れる仕上げ方を選んでいただくと、金物で屋根を挟み込むことができるため、穴を開けることなく太陽光パネルを載せることが可能となり、雨漏りの心配が少ないという大きなメリットがあります。

まとめ

屋根材を選ぶ際は、デザインだけでなく、その素材が持つ「耐久性」「耐震性」「メンテナンス性」といった性能的な特徴を意識することが大切です。特に軽量な素材を選び、適切な断熱・通気対策を施すことで、高性能で安心できる住まいを実現できます。今回ご紹介したポイントを参考に、後悔のない屋根選びを進めてみてください。

 

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