Column

コラム

2026.05.15

【専務コラム】第12回|決意あらたに

先日、妻と出掛けた帰り道のことです。ふと目に飛び込んできたのは、新潟県十日町の棚田が織りなす絶景でした。夕映えに照らされ、静かに水を湛える棚田。その美しい風景を眺めながら、私はこれまでの歩みと今の心境を静かに振り返っていました。

父への憧れと職人の道

ご承知の方も多いかと思いますが、私は18歳から職人を目指し、父親に弟子入りしました。父親への憧れと尊敬で入った世界が楽しくて、夢中で駆け抜けた20代。30で結婚し、凄い作家や職人が集まる会に入れてもらい、もの造りの考え方や人との付き合い方を知りました。また、2人の子供に恵まれ、夢中で子育てをするなかで、かつて自分が親からもらっていた愛情の深さを改めて知ることとなったのです。

喪失の中で知った人の温かさ

しかし、人生は順風満帆なばかりではありませんでした。親父を早く亡くし、絶望の中にいた私を救ってくれたのは、家族や友達、そして周りの方の温かさでした。親父以外の師を求め、何人もの人に出会う中で、自分が目指した指物師以外の仕事や考え方を知りました。独立して仕事の意味や厳しさを知り、仕事を引き継ぐ事やその形とは何かを知る。そうした経験を経て、斉藤林業にきてそれらをさらにもっと深く知ることとなりました。

「知る」ことの連続とこれからの使命

最近では、教える事の難しさを知り、同時に人を育てる喜びを知りました。振り返れば、ずっと知ってばかり、気付かせてもらってばかりの自分です。そんな全ての人に感謝しながら、今の自分が何をすべきか。それが今の自分なのだと感じています。もっと知りたい自分がいて、知ってもらいたい自分がいる。とりとめのない話ですが、美しい風景を前に、決意あらたに頑張ろうと思った出来事でした。

美しい風景は、時に私たちに自身の原点を思い出させてくれます。これまでの出会いや経験、そして多くの教えを糧に、これからも職人として、一人一人の人間として、真摯に歩み続けていきたいと考えています。