窓の性能を左右する要素の一つが、ガラスの枚数です。現在は、ガラスを2枚使用する「ペアガラス（複層ガラス）」や3枚使用する「トリプルガラス」が主流となっています。これらのガラスの間に空気層やアルゴンガスなどの気体を封入することで、熱の伝わりを抑える仕組みです。

一般的にトリプルガラスの方が熱が伝わりにくく性能は高いとされますが、全ての窓にトリプルガラスが必要というわけではありません。窓の費用対効果は地域の気候特性に大きく左右されます。例えば、群馬県のような地域でも、寒冷地である北部の山間地域と、比較的温暖な平野地域では推奨される窓のスペックは異なります。ご自身の建築予定地が特に冷え込む地域であるか、日射による暖房効果も期待できる地域かを考慮し、適切なガラスの枚数を選ぶことが、コストと性能のバランスを取る上で重要になります。

窓枠である「フレーム」の素材も、窓の断熱性能に大きく影響します。かつて主流だった金属製のアルミフレームや、アルミと樹脂を組み合わせた複合タイプなどがありますが、最も熱を伝えにくい素材は「樹脂」です。

ガラス部分は空気層によって熱が伝わりにくくなっていますが、フレーム部分は熱の通り道となりやすい箇所です。そのため、熱が伝わりにくい素材でフレーム全体を構成した「オール樹脂サッシ」を選ぶことが、窓の弱点を補い、断熱性能を最大限に引き出すために推奨されます。さらに、ガラスとガラスの間を隔てる部品である「スペーサー」にも注目が必要です。スペーサーが金属製だと、そこから熱が伝わってしまうため、フレームと同様に樹脂製のスペーサーを選ぶことで、窓全体の断熱性能をさらに高めることができます。

窓ガラスには、室内側の熱を逃がさない「断熱タイプ」と、太陽光からの熱の侵入を防ぐ機能を付加した「遮熱タイプ」があります。遮熱タイプの方が高性能に聞こえますが、冬場の「日射熱」の利用を考えると、窓の配置に応じた使い分けが重要になります。

冬場は太陽高度が低くなるため、南側の窓から入る日差しは、暖房器具を使わずに室内を暖める強力なエネルギー源となります。この日射熱を積極的に取り込むために、南側の窓にはあえて熱を遮断しない「断熱タイプ」の窓を採用することが推奨されます。一方、夏場の日差しが強く、冬場の日射熱の恩恵が少ない東・西・北側には、熱の侵入を防ぐ「遮熱タイプ」を採用するのが効果的です。また、軒の出を約1メートル出す（約900mm）、窓の上に日差しを設けるといった建築的な工夫と組み合わせることで、夏は日差しを遮り、冬は日差しを取り込むという、理想的なパッシブデザインを実現することができます。

窓は単に光を取り込む、外を見るための開口部ではなく、住まいの快適性を左右する重要な「高性能な建材」です。ガラスの枚数、フレームの素材、そして断熱・遮熱タイプの適切な使い分けを、地域の気候や家の向きに合わせて戦略的に行うことが、一年中快適な温度で暮らせる住まいづくりへの第一歩となります。これから家づくりをされる方は、ぜひこの3つのポイントを意識して窓選びを進めてみてください。

▼詳細はこちらの動画から確認できます▼